医療法人回生会大西病院
         
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麻痺について

皆さんはよく新聞やニュースで「片マヒ」とか「半身不随」という言葉を耳にしていませんか?
“不随、=自分の意思では動かせなくなること”を、麻痺といいます。
麻痺といっても本当にさまざまです。
原因は脳や脊髄の病気であったり、事故や転んだりしても出現することがあります。麻痺の出現する場所も体の片側だったり、両方の手足、顔面や手、足のみに出現することもあり、これが混合して起こることもあります。
麻痺の症状も、体がずんと重くなる感じだったり、しびれたり、痛みを伴う感覚だったりと本当にさまざまです。

今回は脳卒中によって起こる麻痺について考えてみましょう。
脳卒中や脳腫瘍により、脳の血管が破裂したり、詰まったりして脳の血液循環が障害を受け大脳運動野にある一次ニューロンと呼ばれる神経細胞から脊髄の二次ニューロンに伝わる神経の経路に損傷が起きる為に麻痺が起こります。
少し難しいですね。
脳卒中の詳しい説明については、別項で触れるとしまして、
簡単に言うと、“脳の中の電線の配線が途切れてしまい、思うように体が動かせなくなってしまう”のです。

脳からでた配線はどこにつながっていたのか?全身の筋肉です。
体を動かすのはもちろん筋肉です。脳の損傷された部分に配置していた筋肉への配線によってその筋肉の部分が麻痺してしまうのです。そのためさまざまな筋肉の異常をきたします。脳には全身の筋肉へつながる配線(神経)が集まっていますから、ある部分が損傷されただけでも足全体に麻痺が出現したり、体幹に麻痺が出現したりするのですね。
俗に言う半身不随とは、脳のある部分が障害されたことによって、体のどちらかの手、足、顔面、体幹などが麻痺してしまい、思うように動かなくなってしまうことです。

 

麻痺になるとどうなるの?

1:脳の損傷による変化(急性期)
脳に何らかの異常事態発生!!
発症するとさまざまな症状で気づきます。手足や顔面の脱力感やしびれを感じたり、手や足、顔の筋肉がだらんとして思うように動かなく、重いものを引きずるような感覚になります。この時期の筋肉の状態を「弛緩性麻痺」と言います。人によって立ったり座ったりしていられなくなり、倒れてしまうほど体の力が抜けてしまうこともあります。
脱力感以外にも口がもつれる、しびれる、めまいがする、頭痛…。発症の症状などは急性期の項で詳しく説明しています。

2:早い段階での回復過程における変化(回復期)
脳のショック状態が落ち着いてくるのに伴って、麻痺は徐々に変化してきます。だらんと重いだけだった体が動かせるようになってくることがあります。しかし、一度損傷してしまった脳は元の状態に戻ることは難しいので、さまざまな障害が出てきます。筋肉が突っ張ってきたり、だらんとした部分が残っていたり、体がアンバランスな状態になるのです。その状態が長く続くと、関節が硬くなって関節拘縮を起こすこともあります。その程度は人によってさまざまであり、この筋肉が突っ張った状態を「けいせい麻痺」と言います。

3:緩やかな回復過程における変化(維持期)
一般的に麻痺の回復は6ヶ月を経過すると緩やかになると言われています。これも人によってさまざまであり、1年たって麻痺が回復してくる方もいらっしゃいます。体の機能を維持するために、訓練を行ったりしている方が多くいらっしゃいます。

4:十人十色(個体による違い)
その人が病前どのような生活を送ってきたのか?これも大事なポイントです。
どんな仕事をしていたか?どのくらい体を動かしていたか?どのような体型か?などはその人の筋肉がどのような状態か、持久力などがそれぞれ違うのです。
また年齢や既往歴(以前かかった怪我や病気)や合併症(現在も続いている病気)の有無も個人差に影響すると言われています。
病後も長期間安静をとっているよりも、医師の指示のもと、早いうちから訓練を開始したほうがいいと言われています。

 

よく患者様やご家族の方に聞かれる質問をまとめてみました。

Question01:麻痺は体のどの部分に起きますか?
Answer上の項でもお話しましたが、脳のどの部分が損傷されたかによって麻痺はどの部分にも出現する可能性があります。基本的に右脳は左、左脳は右の体の運動をつかさどっているので損傷した脳の反対側に麻痺が出現することがあります。右側なら左半身、左側なら右半身です。出現する部位も人によってさまざまですが、手足、体、顔面(口腔内)に麻痺が出現することがあります。これらが重なって複数(手足と体、手足と顔面など)出現することが多くあります。

Question02:麻痺は完全に治るまでどのくらいかかりますか?
Answer麻痺は個人差がありますが、ある程度までは改善するといわれています。「ある程度まで」というのは、一度損傷した脳は元に戻ることが難しいため、脳のほかの部分が機能を代償しようと働くのです。したがって完全に元に戻ることは非常に難しいと言われています。
一般的に最初の6ヶ月の間に改善が大きく見られる期間とされています。6ヶ月経過しても緩やかではありますが、改善が見られます。麻痺以外にも失語症や高次脳機能障害などを合併することがあるので、麻痺の回復以外にも考えなければなりません。(失語症や高次脳機能障害については、別の項で説明します。)

Question03:リハビリをしたら治りますか?
AnswerQ2で説明しましたが、麻痺は完全に治ることは難しいといわれています。では訓練の目的は何でしょうか?
それは、脳が代償して機能を回復する過程を手助けすることです。詳しく言うと、手足、体幹、顔面(口腔内)の機能訓練をするだけでなく、日常生活動作の指導、工夫(食事やトイレなど)、自助具などを使用してより生活をしやすくすることで、残ってしまった麻痺にどう対応していくか、リハビリテーションとしての大切な訓練になります。具体的な訓練については別の項で説明します。

Question04:何か自分で出来ることはありますか?
Answer発症して機能訓練を始めるには、なるべく早いほうが良いといわれています。早期リハビリテーションは医師の指示のもと実施していきます。訓練の内容についてはリハビリ奮闘記をご覧ください。
自分で出来ることで一番していただきたいのは、麻痺したほうの手足を大切に扱ってほしいということです。麻痺した手足は感覚が鈍っていることが多く、寝ている時に手足を体の下敷きにしてしまったり、どこかにぶつかっているのに、そのまま無理やり動かそうとして疼痛や腫れ、むくみを引き起こす原因となってしまいます。
状態が安定してきたら、左右対称的な動作を心がけましょう。具体的には麻痺している反対の手足ばかり使わないことです。頑張って動かしすぎると逆に麻痺した手足をつっぱらせてしまう原因にもなります。反対に大事をとりすぎて動かないままでいると筋力が落ちたり、関節が固くなってしまう恐れがあります。自分で出来る体操などは人によってさまざまですので、PT、OT、STに尋ねると良いでしょう。

Question05:家族として何かしてあげられることはないか?
AnswerQ4でも説明しましたが、患者さん本人がベッド上や車椅子上で麻痺したほうの手足を下敷きにしたり、ぶらんとたらしたままにならないように注意してください。
本人が気づかないことが多くあります。
本人の動作(体の向きを変えたり、起き上がったりすること)を助けるときは、麻痺によって本人が出来ない部分を助けてあげましょう。
家族の方がどのぐらい動かしていいのか、動いていいのか?その人によりさまざまです。主治医に確認すると良いでしょう。
ほかの体操や運動、具体的な介助方法も人によってさまざまです。PT、OT、STに聞くと良いでしょう。

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