医療法人回生会大西病院
         
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Aさんのリハビリの経過

■Aさん 60歳女性 / 診断名:脳出血
1.脳出血発症 /H14.9.15 
夫と二人暮しで、主婦のAさん。
夕方、台所にて仕事中、ろれつが回っていないことに夫が気付き、布団に横になろうとするが、そのまま転倒。右の手足の動きが悪く、救急車にて当院へ搬入されました。検査にて左脳出血が認められて入院となり、翌日、血腫吸引術という手術が行われました。
2.リハビリ開始 /H14.9.24 (入院より10日目)

訓練イメージ

病室に理学療法士(以下PT)、作業療法士(以下OT)、言語聴覚士(以下ST)が訪問し、早速訓練が始まります。Aさんの場合、血圧が高いため、しばらくは病室で訓練を行います。Aさんは右の手足の麻痺と失語症が見られたので、PT、OT、ST3人が関わることになりました。

右の手足は自分ではまったく動かせない状態で、失語症のため言いたいことが言えず、相手が何を言っているのかわからず、意思疎通を図れない状態でした。
PT、OTでは関節拘縮予防や早くベッドから起きられるようになどを行いました。
STでは聴く訓練や話す訓練を行いました。

3.訓練室デビュー☆ /H14.10.8(入院より24日目)

訓練イメージ

状態が落ち着いたため、病室での訓練から訓練室での訓練へと変更になりました。
まだAさんは一人で寝起きや車椅子に移ることが出来ないため、必ず誰かの助けが必要です。また身のまわりのことも全て助けが必要です。

車椅子を看護師に押してもらって来室、横になったりして休憩を入れながら合計約2時間の訓練を行います。PTでは体を動かす訓練、寝起きの訓練、車椅子に移る訓練を行いました。OTでは手や体を動かす訓練、座るバランスの訓練を行いました。STでは自由に話をする中で、聴く、話す訓練を行いました。また書く訓練も始めました。
■担当OTより
「Aさんは訓練室にデビューした頃、めまいの訴えが多く、すぐ疲れてしまって思うように訓練が進みませんでした。」

4.歩いてみよう /H14.11(入院より約2ヶ月目)

訓練イメージ

毎日2時間の訓練にもなれ、体力が戻ってきたので、歩く訓練に挑戦することになりました。麻痺した右足が思うように体を支えることが出来ないため、膝に装具をつけて平行棒の中でPTと歩きました。始めはPTが足の振り出しを助けたり、体を支えたりとかなりの助けが必要でした。しかし、日がたつにつれ助ける量が減り、ある日平行棒から卒業し、杖歩行の訓練をするようになりました。

5.オムツ卒業!トイレに行こう /H14.12(入院より約3ヶ月目)

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Aさんの場合、しばらくはオムツをしていました。尿便がしたい感じや、出る感じがわかりにくく、気付かないうちに出てしまう状態だったのです。
訓練室で訓練をするようになってから、PTやOTが声掛けをしてトイレに行くように促していました。間に合わなかったり失敗したりしましたが、何度も根気強く行いました。
尿便意が分かるようになって来たころから、病棟でもトイレ動作の練習を始めようという話が出ました。しかし、初めのうちはAさんの拒否がありました。人前で排泄することの恥ずかしさや、新しいチャレンジへの不安があったのかもしれません。病棟スタッフからの説得もあり、Aさんが納得されたのは訓練室でトイレ訓練を始めてから3ヵ月後のことでした。そしてオムツから紙パンツに変更になり、積極的な病棟でのトイレの練習がスタートしました。
         
頑張り屋のAさんですから、1ヶ月もすると見守りで出来るようになりました。しかし、バランスを崩す場面もみられ見守りが必要なのに、自信がついたためか一人でトイレに行ってしまい、注意を受けることが多々ありました。
トイレの練習を始めてから半年後、一人でトイレに行けるようになり、失敗することがなくなったため、紙パンツから布のパンツへ変更になりました。

6.名前が書けた /H15.1(入院より約4ヶ月目)

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うまく意思疎通できないことを目の当たりにする言葉の訓練は辛いものでした。リハビリが嫌になってなにも出来ない日もありました。しかし、ある日、大好きな息子さんが見学に来たのです。Aさんはいつも出来ないのが嫌で避けていた書く練習に挑戦してみたのです。そうすると誰の助けもなく左手で自分の名前が書けたのです!
Aさんは息子さんに頑張りを見せられたことで言葉の訓練を頑張ろうと思ったそうです。それからは、なれない左手で書く練習を沢山して宿題もして段々綺麗な字が書けるようになってきました。そして言葉のリハビリを頑張れるようになったことで、前よりも言葉が出てくるようになりました。       

7.初めての外泊 /H15.3(入院から約6ヶ月)
初めての外泊が決まりました。家族(夫)から入院前の生活や(寝室の様子やトイレの様子など)家の中の構造(段差の有無や玄関の様子など)を良く聞き実際にシミュレーションを行いました。歩行時の介助方法、段差昇降の介助方法、特にAさんは家では布団で寝起きをしていたため、床へ降りる、床から起きる介助方法を夫に指導することになりました。夫が実際に訓練室に来てくれました。
はじめは恥かしがって遠くから見ているばかり…。しかし何度か見学していくうちに夫が実際にAさんと介助方法を練習するようになりました。
実際の歩行時の介助方法も練習していきました。
初めての外泊は無事終了!Aさんはニコニコで帰ってきました。よかったね。Aさん。
8.行きたい時に行きたいところへ /H15.5(入院から約8ヶ月)

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トイレの訓練も進み、訓練室での訓練も立って行う訓練や、歩行訓練を中心に行うようになってきました。歩くことは、軽く助けるだけでスタッフの付き添いで訓練室の中を歩けるようになりました。しかし、まだどうしてもふらつく部分があり、転倒の危険性もあったため、一人での歩行や車椅子への乗り降りを許可していませんでした。
トイレに行きたくても、散歩したくても誰かを呼ばないといけないということは相当のストレスだったのでしょう。こっそり一人で車椅子に移ろうとして注意されることも見られました。
ベッドの柵やベッドの高さなど訓練室の環境は病室とは違うものです。そこで、リハビリスタッフは訓練室で出来ることと病棟で出来ることを評価し、一人で車椅子の乗り降りは出来るようにしよう目標を立て、実際Aさんが使っているベッド周りで車椅子の乗り降りの練習を始めました。 何日も練習した結果、ふらつきなく車椅子の乗り移りが出来るようになりました!好きな時に気兼ねなく、散歩が出来る。Aさんはとってもうれしそうでした。

9.着替えを自分でしよう /H15.9(入院から約1年)

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周りの患者さんが病衣を着ているのに私服を着る必要性を感じられない、難しいことに挑戦したくないなど様々な理由があるのか、トイレ同様最初は拒否的でした。しかし失語症のあるAさんは、その当時そこまで意思表示することができず、ただ「嫌!」と言うばかり…。そこで、「野球拳をしましょう!」などとうまくAさんの気持ちをのせて着替えの練習を行っていきました。
繰り返し練習を行ううちに口を使えば袖を通せ、つかまる場所があればズボンを上げられる様になりました。下着が私物のパンツに変更になったのを期に病衣から私服に変更になりました。それと同時期に洗濯の練習(洗濯機を使う・干す、たたむ動作)も始めました。家族(夫)に洗濯の面で迷惑をかけたくない、という思いもあったのかAさんはとても満足した様子でした。

10.おしゃべりをしよう /H16.4(入院から1年7ヶ月)
言葉のリハビリは順調に進んでいました。書く練習を皮切りに書いた字を読むことや書き取りなど意欲的に取り組む毎日でした。以前は日常的な会話はうまく言えない事で消極的でしたが、持続したリハビリが自信となり積極的に自分の考えやリハビリのことなどお話するようになりました。そんな中、スタッフの恋愛話など、ちゃめっけたっぷりに聞いてみたり、冗談を言ってみたり…やはり、うまく言えないこともあるけれどそれはAさんの本来の明るさではねのけているようでした。 うまく言えないことは変わらなくても明るく積極的に人と話そうとする気持ちが円滑なコミュニケーションを産むのかもしれません。
11.楽しみをみつける /H16.6(入院から1年9ヶ月)

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利き手の右手が麻痺してしまったAさんには利き手交換が必要でした。その1つとして、Aさんが利き手ではない左手を使って挑戦したのはビーズで作るティッシュカバー。太い糸(メタリックヤーン)を針で2色のビーズに通して組み立てていくものです。片手だけで作るので、滑らないようにマットを敷き、固定のために重鎮を使います。
苦労の末、1ヶ月かけてきれいな作品を完成させることができ、自信をつけることが出来ました。これまで自分の体のことばかりに目が向いていたAさんが違うことに夢中なれるきっかけになったのです。

12.家族指導そして外泊 /H16.7(入院から1年10ヶ月)
退院の話は前から出ていましたが、雪のない時期にということで来月に退院が決まりました。今まで何度か外出、外泊をして夫に介助方法を指導してきましたが、今度は退院後の生活を想定して、外泊中にうまくいかないことがあった時、PT、OT、STが問題解決のアドバイスを行いました。
毎週末外泊を繰り返し、そのたびに本人も夫も在宅の生活に慣れていきました。退院後の在宅生活の介護サービスも受けることになりました。今のAさんにはどういうサービスが必要か医療相談員や家族、本人、PT、OT、STなどと話し合いを行います。
13.祝☆退院 /H16.8.14(入院から約1年11ヶ月)
夫と一緒に自宅に退院となりました。Aさんは今までのことを思うと涙涙です・・・。退院後は病院のリハビリに週3回通うことになりました。Aさんおめでとう!!
14.その後・・・

自宅では退院後怪我もなく、元気に生活をしているそうです。そして家族と本人の希望により、週1回デイサービスに通うことになりました。もともと皆で集まってお話をしたりするのが好きなAさんですからとっても楽しく通っているそうです。Aさんも夫もお互いに生活を楽しんでいるようです。
※写真はリハビリ中のイメージを掲載しています。Aさんとは関係ありません。

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